外房線の旅〜御宿とツキノサバクのナゾ〜
こんにちは。
secret base 〜君がくれたもの〜 みたいなタイトルですが、9月のはじめに外房線を旅してきました。その旅行記を今さらながら書いてみようと思います。
旅の発端は、18きっぷが一日分余っていて、期限が切れそうだったことです。
「部屋から発信中。」というブログタイトルからもわかるように、部屋が大好きな典型的引きこもりなのです。18きっぷを買っても余らせそうになるという厄介な性格です。
それで、「どこへ行こうかな〜」と地図を広げて、独断と偏見で外房線を回ってくることにしました。
「勝浦タンタンメンを食べて、海を見る」ことを最低限のノルマとして、朝の11時半に急いで出発です。寝坊したので。
①蘇我駅
外房線は蘇我駅から乗れるのですが、蘇我で乗り換え待ちが30分。
キャンペーンで、房総半島の駅舎がズラーっと貼ってありました。
このあたりの駅舎が気に入りました。なんだか少し近代的な雰囲気がありました。豪邸の門みたいです。
そんなこんなで電車が来たため、外房線の旅、いよいよ本格スタートです。
蘇我を出てしばらくは普通の街並みでしたが、茂原を超えたあたりからだんだんと田舎っぽくなってきました。
ほーんと、田舎が大好きです。
家を出る前にほぼ下調べをしていなかったので電車の中で外房の観光地を調べてみることに。すると、「勝浦海中展望塔」なるスポットを発見。
海の中にある展望室で魚を見られるよー、というやつですね。「東洋で一番の規模」とか書いてあってワクワクが止まりません。
②御宿と月の沙漠
さてさて、展望塔の最寄駅を確認して、「なるほど勝浦駅の1つ隣なのね!」と御宿駅で下車。
自分は方向音痴なので駅員さんにあらかじめ「勝浦海中展望塔はどう行けばいいですか?」と聞くと、「えっ!最寄駅はここじゃなくて鵜原駅だよ!2つ先、勝浦の向こう!」と言われました。方向音痴どころか下車音痴で、自分でもびっくりしました。勝浦の隣の駅というところまでは合ってたのに。
電車も行ってしまってさあ大変。次の電車は1時間後です。駅員さんに「ここらへんって時間潰せる場所ありますか?」と聞くと、「ツキノサバクって知ってる?行ったことないなら、そこに行ってみるといいよ。時間も1時間で行って帰ってこれるから。」とアドバイスをいただきました。
「ツキノサバクってなんだろう?さっきざっと調べたときは出てこなかったなぁ。砂漠だから暑いところ?砂浜のこと?それとも、ご当地テーマパーク的ななにか?お金かかるのかな?」と前知識ゼロで御宿を散策することに。
1枚目は、ヤシの木が生えていていかにも海沿いの町という雰囲気です。手前のポールにラクダが2匹。「ラクダ系の砂漠だ!砂浜じゃなさそう!」と、ますます謎が深まるばかり。
2枚目は、メキシコと交流があることを示す看板。「なんでメキシコ?メキシコ風の砂漠?メキシコ風の屋台が並んでたりするの?」とやはり謎が深まります。
ほんとーに方向音痴なので、途中、料理屋さんの前で立ち話をしているおばちゃんたちに「月の沙漠ってどっちですか?」と確認。
「この道をまっすぐだけど、美術館でイラスト展をやっているから、もしも絵とか好きなら見ていくといいよ!」とチラシをもらいました。なるほど、ツキノサバクは美術館らしい。
そんなこんなで、駅から15分ほど道をまっすぐ歩くと、
なんと、綺麗な砂浜に到着しました。
「なるほど、ここが月の沙漠!」と確信をしました。月の沙漠は、砂浜でした。
最初に見たラクダもいましたしね。
自分は海を眺めるのが大好きなので何時間でもそこに居たかったのですが、次の電車に乗らなければいけません。「かつうら」と書き残しておきました。勝浦の海は、エメラルドグリーンで綺麗でした。
次の電車まで残り30分でしたが、15分あれば駅に戻れるため、これはイラスト展も行くしかない!と美術館の人に「10分で展示物見れますか?」と聞いて、早速中へ。
1階がイラスト展となっていました。
1枚目は、御宿のゆるキャラの「エビアミーゴ」くんです。御宿名産の伊勢エビ(伊勢ではなく千葉の名産品です!)とメキシコを組み合わせた、ゆるキャラです。けっこうかわいいですよね。
そうそう、このイラスト展は「にしもとおさむさん」という方のイラスト展なんです。にしもとおさむさんはデザイナーで、御宿に数年間住んでいたことがあるそうです。それで、ゆるキャラの応募にエビアミーゴくんが採用されて、今回その御宿でイラスト展を開いた、ということです。
2枚目は、にしもとおさむさんの作品群です。絵本とかにも出てきそうなかわいらしいタッチで、とても癒されました。
2階(撮影禁止です!)に上がると、常設展がやっていました。大正時代の詩人である加藤まさをさんが、御宿の海を舞台に「月の沙漠」という作品を出して、名前が定着したみたいです。
ちなみに、月の沙漠の「沙」は、砂ではなく、さんずいです。海の雰囲気があって、とても綺麗な文字です。
さて、そんなこんなで展示物を10分でざーっと見て、急いで駅へ向かいます。さっきの駅員さんに「楽しかったです!」と伝えて、電車にギリギリで間に合いました。現在の時刻は15時半。さあ、次の目的地は勝浦海中展望塔です。
と、その前に御宿とメキシコの交流の伏線を回収しておかなければ。
今から400年前、フィリピンからメキシコに帰ろうとしたドン・ロドリゴという人の一行が、御宿の海岸に漂着しました。なんか高校日本史で聞いたことある名前ですね。
それで、御宿の人たちが船に乗っていた300人以上を助けたことがきっかけで、メキシコとは交流を持っているそうです。
上陸地には、記念塔が建っているみたいです。
②鵜原と魚と理想郷
御宿駅から2駅、やっと目的地の最寄駅に到着しました。ここは無人駅で、自分で海中展望塔まで行かなければ。
幸い、駅前にデカデカと看板があったため、それに従って行くことに。
いかにも田舎っぽい静かな道やトンネルを20分ほど進んでいくと、到着しました。2枚目の奥に見える白い塔が展望塔です。
受付で960円の入場料を払って、トンネルを抜けたあとに塔まで歩きます。なんだかワクワクします。あとこの道、めちゃくちゃ風が強かったです。スマホとか迂闊に出すと飛ばされかねません。
塔の入り口でチケットを切って階段を降りていくと、
展望塔に到着です。着いたのが閉場30分前だったので、自分の他に1人しかいませんでした。
魚
魚を間近で見ることができます。ゆったりした時間です。
壁には魚の解説とか「今の時期の魚」とか「見れたらラッキーな魚」とかいろいろ貼ってあって、時間があったらゆっくり見て楽しめるんだろうなぁ〜と思いました。
あくまで塔なので広いわけではなく、15分くらいかけて一通り楽しんで、海中展望塔をあとにします。
ここにくる途中の看板で「鵜原理想郷」といういかにもワクワクなワードを見つけたため、駅にはすぐに戻らず、理想郷なる場所に行くことに。「理想郷ってなんだろう?よほど綺麗な場所かな?」と絶景大好きな自分は行かざるを得ません。前知識なしの旅って、色々と想像を膨らませられるところが好きです。
細いトンネルを抜けると、理想郷の看板が。夕方なのもあって、だーれもいません。
こんな道や岬も、
こんなベンチも丘も、独り占めです。
ちなみに2枚目は「黄昏の丘」という名前で、まさに黄昏の時間だったので、座って黄昏れました。
日も暮れてしまいそうだったので、30分程度散策して帰ることにしました。
たぶん1時間〜1時間半程度あれば、理想郷をまるごと楽しめると思います。あと、トンネルをいくつか通るのですが、天井が低いのと、とても暗いので、頭上と足元には十分気をつけましょう。
と、ここで「理想郷の由来は?」となると思うので一応解説をしておきます。大正時代にここを別荘地にする計画があって、理想郷と呼ばれるようになったそうです。
そんなこんなで、鵜原駅に到着。
駅前には綺麗な猫がいました。眺めていると、おばちゃんが歩いてきて猫をじーっと観察し始めました。
「この猫は野良猫ですか?」と聞くと、「そうなのよ、エサをあげると増えちゃうからあげちゃダメなんだけど、かわいそうだし、難しい問題だよねぇ…。」と。心がキュッとしました。こんなに綺麗な毛並みなのに、ここでは邪魔者なんだなぁ…。と思いました。
「けものは居てものけものは居ない、本当の愛はここにある」という歌の歌詞が、虚しく聞こえてしまいますね。
そんなしんみりした気持ちで、次は勝浦駅で勝浦坦々麺を食べに行きます。時間は18時半。もう真っ暗です。
③勝浦とタンタンメン
駅近くのお店でタンタンメンを食べることに。駅員さんに「このお店がどこかわかりますか?」と聞いてみると、「駅の裏の道を少し進んで、曲がるとすぐに見えるよ。」と親切に教えてもらいました。スマホを見ても目的地にたどり着けないことがあるレベルの方向音痴なので、とても助かります。
「お食事処 欅」というお店で、タンタンメンをいただきました。あと、お店のテレビで「富田林の逃走した人は、生きているかも不明。」というニュースがやっていました。まさか、日本一周を楽しんでいたとは思わなかったですね。
タンタンメンの味については、普通のタンタンメンよりも後味があっさり目だと感じました。もうスマホの充電がなかったので、「勝浦タンタンメンの特徴は、玉ねぎから来るあっさり風味のスープかな?」と予想を立ててみました。そんなこんなで美味しくいただいて、外房線の旅はおしまいです。
そうそう、家に帰ってから調べてみたところ、どうやら勝浦タンタンメンの特徴は、玉ねぎも一つですが、""ゴマ系ではない醤油ベースのラー油を使うこと""らしいです。なるほど、それであっさりなのですね。
という感じです。
④おわりに
下調べなしで旅をすると、現地の人に色々質問しておはなしする機会が増えたり、想像が膨らんだり、偶然で観光地を見つけたりするので、楽しいです。
御宿は、ただ間違えて降りただけなのに予想外に楽しくて、すごーく思い出になりました。
ご当地グルメは、あえて何も調べずに自分で特徴を予想するのも一つの楽しみ方だと思いました。
また、外房に遊びに行きたいです。
ではでは。